悩まされる

「ストレッサー」がストレスを引き起こしている

身体にある内分泌器官でホルモンが分泌されますが、特に、脳内では「脳下垂体」が分泌するホルモンと「視床下部」が分泌するホルモンがあります。また、脳下垂体ホルモンは視床下部の制御も受けます。

脳下垂体は、脊椎動物の脊椎脳側先端にあって、脳にぶら下がったように接触、結合しています。
ここで分泌されるホルモンは9種類が分かっており、その役目も知られています。生命活動に直結した作用を司るホルモンが多いのが特徴です。生殖や成長などが関連しています。

視床下部で分泌されるホルモンは8種類が知られており、同様に作用も分かっています。ここで分泌されるホルモンは、行動、活動に関連するホルモンであることが特徴です。
また、脳下垂体ホルモンを調節するホルモンも含まれます。したがって、精神衛生上の問題となる原因は「視床下部」もしくは、「視床下部分泌ホルモン」に多いことが言えます。

「長時間、あるいは、強いストレスを受け、身体に疾患を呈した。」これはこれで、
十分通じる話し方ですが、正確には、「ストレッサーにより(を受け)ストレスが溜まり疾患を呈した。」が正しいです。

悩まされる

人工移動体や建造物などに故障、損傷があったとき、「金属疲労による劣化が原因」と言われることがよくあります。
この場合、長期間の振動が金属分子結合を緩め、分離に至ったと言うことです。

ここで、「振動」がストレッサーで、「金属分子結合の緩み」がストレスです。
この現象は、ストレスを物質機械に例え話として説明しているのではなく、ストレスの本質を説明しています。
私たちが悩むストレスは、その一部としての「生体ストレス」を言います。

物理機械学範疇のストレスと生体ストレスとの大きな違いは、「ストレス反応」があるかないかです。生体ストレスにはストレス反応があります。
物理機械学でのストレスでは、しばしば、「応力」をストレス反応とすることがありますが、誤りです。
物質が化学反応等、何らかの反応で「戻ろう」としているのではなく、単なる「弾性」による応力だからです。
化学反応は、さらにエネルギーを添加せねば「還元(元に戻る)」は起こりません。

生体ストレスのうち、「人」だけを取り上げます。

人にとってのストレッサーは4つに分類されています。

① 物理的ストレッサー
② 化学的ストレッサー
③ 生物的ストレッサー
④ 社会的ストレッサー(心理的ストレッサー)

です。

健康体であれば、ストレッサーに対し、可逆的ストレス反応が起こり、元に戻れます。

ストレスが限界

アドレナリンとは?~「アイムレディー」の状態へ

生体ストレスでも、金属疲労のように、ポキンと折れてしまうことがあります。
この状態のストレス反応は、放置状態であれば不可逆的ストレス反応です。
折れた金属を溶接でつなぐなどと同じように、復元するには、何らかの処置が必要です。

希に、時間を費やするだけで復元することもあります。自然回復(自然治癒)です。

しかしながら、どの場合でも、ストレッサーを除去せねば回復は難しいです。
一時的除去だけで回復し、健康体となって、応力を維持できるようになることもあるし、残念ながら、以前より短いストレッサーへの暴露で疾患状態となることもあります。

特に、この状態が強く、短く、強烈に起こる場合をPTSD(心的外傷後ストレス障害)と呼んで、特別な医療処置が必要となることもあります。
この場合、「ストレッサー(ストレス原因)」とは言わず「トラウマ要因」とされます。

ストレスが限界

人体のストレス反応で放出されるホルモンには、代表的なものが2つあり、両者とも化学式(分子式)は正確に判っており、人工合成が可能です。
その二つは、「アドレナリン」と「コルチゾール」です(ここではセロトニンについての記述は省きます。)

神経伝達物質(神経伝達ホルモン)で重要な働きとなるものは「カテコールアミン」と言う化学物質を基底とする神経伝達物質で、3種類あります。

① アドレナリン
② ノルアドレナリン
③ ドーパミン

です。

「アドレナリン」、名前はよくききますよね。それではアドレナリンとは一体どのようなものなのでしょうか?

アドレナリンとは、ノルアドレナリンとともに「闘争か逃走か(とうそうかとうそうか)物質」とも呼ばれています。この両ホルモンは「交感神経系」別名、「闘争か逃走か神経」を作動させる働きがあります。

ここで注意すべきことは、アドレナリンの働きの逆を行うホルモンがノルアドレナリンであることは「誤り」です。
加えて、交感神経の逆の神経系として副交感神経があるというのも完全な誤りです。したがって、これらの誤りから、交感神経によりアドレナリンが、副交感神経によりノルアドレナリンが分泌される。
と言うのも根拠のない誤解、若しくは誤りです。
あくまでもこのホルモンが神経を刺激(作用)するのであって、神経がホルモンを分泌させるのではありません。

アドレナリンには医学で使用する名前として「エピネフリン」と言う別の名称がついています。同じ物質です。

アドレナリンの働きは、基本的には身体全体を興奮状態にさせます。具体的には、筋力増加、血管拡張をはじめとする循環器系強化及び嗅覚以外の感覚器官の感度強化が起こります。「アイムレディー」の状態です。

逆に「アドレナリン」は、闘争に必要のない機能を低下させ、闘争に向けて身体への過剰な負荷を減らします。これについての具体的な状態は、

・消化器官の停止
・繁殖行為不全
・痛みの遮断

などです。

うつ

ノルアドレナリンとは?~ストレス性疾患に治療に利用されるホルモン

前項では「アドレナリン」についてお話しました。次は、「ノルアドレナリン」について詳しくお話しましょう。

「アドレナリン」と対で語られるノルアドレナリンとは一体どのような働きをするホルモンなのでしょうか?

正常なアドレナリンの分泌は、生きることに必要な状態ですが、過剰な分泌は、無意味以下の興奮が起こるので、身体は疾患状態となります。

アドレナリンはホルモンですから、極めて微量で身体は反応します。
特に、身体の致命的呼称、たとえば心肺停止やアナフィラキシー性不全症候群、喘息発作などの気管閉塞や血管梗塞などでは、強制的にそれらを拡張させるために緊急措置的薬剤として用いられることがあります。
また、液体麻酔剤に極微量を添加して使用することもあります。
薬剤としてのアドレナリンは他の興奮亢進物質とは禁忌(きんき)です。

これらのことから、アドレナリンを直接加えるための薬剤として、ストレス関連疾患に使用することはありません。

うつ

アドレナリンと同様にカテコールアミンを基底物質とするノルアドレナリンとは、ストレス性疾患に治療に利用されるホルモンです。
ノルアドレナリンを直接身体に投与する方法と、ノルアドレナリンを吸収する「ノルアドレナリン受容体」の働きを阻害し、結果的に、脳内に一定量のノルアドレナリンを維持する方法があります。

ノルアドレナリンの大きな作用は、グリコーゲンをエネルギーとして代謝する通常代謝に加え、脂肪からエネルギーを得る代謝を促進させ、筋肉のエネルギー源を確保供給するように働きます。

また、心筋細胞の収縮速度を早めます。特に、神経伝達物質の基幹的ホルモンであることから、ノルアドレナリンが増えることにより脳の活動が活発になります。

ノルアドレナリンが存在する場所はニューロン(神経細胞)先端のニューロンどうしの間隙であるシナプス(比喩表現です。)です。
通常、ここはノルアドレナリンに満たされていて、さらにニュ―ロン先端から分泌され、それを受容体が受け取り、結果一定量が存在しているのが健康な状態です。

「うつ病」に見られる、この場所のノルアドレナリン欠乏、減少を改善させるために、ノルアドレナリンの再取り込みを阻害する薬品が開発されました。

もう一つの神経伝達物質である「セレトニン(セロトニン)」の再取り込みを併せて阻害する薬品「SNRI(セレトニン、ノルアドレナリン再取り込み阻害物質)」は、
現在、うつ病治療に有効とされています。

この薬品が登場する前の最新薬とされたのは、「SSRI(セレトニン再取り込み阻害物質)」でした。
両者とも外国で「うつ病治療薬」として開発され、特にSSRIはNHKの報道番組で取り上げられた後、日本での承認治療薬となりました。

うつ病

「社会的ストレッサー(心理的ストレッサー)」が最も厄介な理由

ストレスの存在は「痛み」の存在理由に似ています。痛みは人の感じる苦しみの中で最も厳しいものでした。

近年、強いストレス反応は、痛み同等もしくはそれ以上の苦しみがあることが明らかになって、研究が進んでいます。

その苦しみだけが主たる症状の疾患が「うつ病」です。このことは後で触れます。

痛みの存在理由は、次のことと考えます。

・身体故障部位を認識させる。知らせる。
・故障部位の治癒に必要な時間を強制的に確保する。

この2つでしょうか。哲学的に捉えると、「生の諦めと死の覚悟」を促すのかもしれません。
いずれにしても苦痛であることに違いはありませんが、生きるために必要だから起こる生理現象であることは確かです。

うつ病

しかし、ヒトは、高次な思考が可能であることから、痛みは不要であることが多いです。ですから、痛みは、痛みの当初の本来目的を得たなら、取り除きたい生理現象です。
「必要であるがいらない。」と言う点から見るとストレスは正に痛みと同じです。
危急的環境を脱出するため、解除するために「変身」せねばならないとき、ストレスがこの変身のトリガを引くのです。
これがないと喰われて死んでしまいます。滑落して死んでしまうのです。この危険な状況を打破、消滅したなら、無用であるのがストレスです。

金属疲労による機械の破損のように、過剰なストレスにより、ストレス反応が消えない状態が「うつ病」であると思っています。
うつ病は現代医学でも、確たる定義、分類は完成していません。厄介です。本人も社会も非常に困る疾病です。

うつ病以外にも、身体に起こす疾病はあります。「○○炎」と称する疾病が多いです。
肘関節と二の腕の筋肉、腱の炎症である「テニス・エルボー」、ピアニストに多い「腱鞘炎」などが思いつきます。
どれも、蓄積された「物理的ストレッサー」が原因です。

治癒には、ストレッサーを除去した環境で過ごせばいいのですが、どれもプロであるが故の疾病で、「職業病」ですから厄介です。
しかしながら、リハビリテーション期間を作り、一旦、治癒させ、その後は再発防止策を取り入れて復帰するしかありません。
プロ野球選手が「故障者リスト入り」したり、外科手術で強制的回復させたり、プロフェッショナルには、「物理的ストレッサー」は生きる糧でありながらも、やはり必要なものです。

一般社会で取り除くことが困難なストレッサーは「社会的(心理的)ストレッサー」です。これを取り除く行為を実行することは、既存社会を破壊することにつながるからです。