生体ストレスでも、金属疲労のように、ポキンと折れてしまうことがあります。
この状態のストレス反応は、放置状態であれば不可逆的ストレス反応です。
折れた金属を溶接でつなぐなどと同じように、復元するには、何らかの処置が必要です。
希に、時間を費やするだけで復元することもあります。自然回復(自然治癒)です。
しかしながら、どの場合でも、ストレッサーを除去せねば回復は難しいです。
一時的除去だけで回復し、健康体となって、応力を維持できるようになることもあるし、残念ながら、以前より短いストレッサーへの暴露で疾患状態となることもあります。
特に、この状態が強く、短く、強烈に起こる場合をPTSD(心的外傷後ストレス障害)と呼んで、特別な医療処置が必要となることもあります。
この場合、「ストレッサー(ストレス原因)」とは言わず「トラウマ要因」とされます。
人体のストレス反応で放出されるホルモンには、代表的なものが2つあり、両者とも化学式(分子式)は正確に判っており、人工合成が可能です。
その二つは、「アドレナリン」と「コルチゾール」です(ここではセロトニンについての記述は省きます。)
神経伝達物質(神経伝達ホルモン)で重要な働きとなるものは「カテコールアミン」と言う化学物質を基底とする神経伝達物質で、3種類あります。
① アドレナリン
② ノルアドレナリン
③ ドーパミン
です。
「アドレナリン」、名前はよくききますよね。それではアドレナリンとは一体どのようなものなのでしょうか?
アドレナリンとは、ノルアドレナリンとともに「闘争か逃走か(とうそうかとうそうか)物質」とも呼ばれています。この両ホルモンは「交感神経系」別名、「闘争か逃走か神経」を作動させる働きがあります。
ここで注意すべきことは、アドレナリンの働きの逆を行うホルモンがノルアドレナリンであることは「誤り」です。
加えて、交感神経の逆の神経系として副交感神経があるというのも完全な誤りです。したがって、これらの誤りから、交感神経によりアドレナリンが、副交感神経によりノルアドレナリンが分泌される。
と言うのも根拠のない誤解、若しくは誤りです。
あくまでもこのホルモンが神経を刺激(作用)するのであって、神経がホルモンを分泌させるのではありません。
アドレナリンには医学で使用する名前として「エピネフリン」と言う別の名称がついています。同じ物質です。
アドレナリンの働きは、基本的には身体全体を興奮状態にさせます。具体的には、筋力増加、血管拡張をはじめとする循環器系強化及び嗅覚以外の感覚器官の感度強化が起こります。「アイムレディー」の状態です。
逆に「アドレナリン」は、闘争に必要のない機能を低下させ、闘争に向けて身体への過剰な負荷を減らします。これについての具体的な状態は、
・消化器官の停止
・繁殖行為不全
・痛みの遮断
などです。